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ひでお先輩の話(2019年度卒)




入塾の理由。


僕は高校3年生の時にベルギーに留学をしていました。帰国後、進路とか今後の生き方を考えていたときに、お世話になっていた学校の先生と僕の母、それぞれから同じタイミングで公営塾をおすすめされました。そんなときにちょうど公営塾の公開イベントが開催されるという話を聞いて、参加してみたんですね。当日いざ会場に行ってみたら、そのイベントでは海洋プラスチックについて石垣の学生とバリの人が話をしていたんですけど、それがすごく面白かったんですよ。そこで実際に学生がプロジェクトに取り組んでいる姿を見たことで めっちゃ刺激を受けたし、何よりも先生がいい感じに面白かったんです。


先生から生徒に教えるという形は本当に全然なくて、基本的にはフリースタイルなんですけど、生徒が困っているときにはそっと頭の中を整理するサポートをしてくれたりして、さり気なく助けてあげるみたいな。生徒の意見や思いを静かに聞いた上で「多分あなたが言いたいのはこういうことだよね」みたいな感じで、より分かりやすい言葉に置き換えてくれたりとか、生徒が自分から意見を出した時とかには「それめっちゃいいね!」と声かけをしてくれたりしていて。


数時間だけだったけど、そんな様子を見ているうちに僕は「なんて おもろい場所なんだ!」と思っていました。そのイベントが終わった後すぐに「すいません、僕 公営塾入りたいっす。」って言いに行って。そしたらその場にいた公営塾の先生たちも「入りたい?お、いいよいいよ〜。」という感じで軽く受け入れてくれて。それで入塾しました。



公営塾ではどんなことをするの?


通常のプロジェクト運営以外に、時折外部講師の先生方がきてくれることもありました。東大生とか、他にもいろいろな大学の先生とか、世界一エコに取り組んでるというバリの学校の先生とか、学者さんとか、本当にいろいろなゲスト講師が来てくれたのが面白かったです。


講師のバックグラウンドが本当に十人十色だったから、話してくれる内容もいつも全然違ったんですけど、講師自身が今まで自分が歩んできたストーリーを話してくれたりとか、公営塾の生徒がそのタイミングで取り組んでいるプロジェクトに関する有益な情報を与えてくれたりとか、学生が真剣に考えていることにちゃんと真剣に向き合ってくれて、すごい熱い大人ばかりでした。


公営塾の場では本当に、自分の頭で考えて行動に移す挑戦を何度もさせてもらえたし、その挑戦をするために必要なコミュニケーション能力とか、0から物事を立ち上げる経験をさせてもらえたことも、すごくありがたかったなと思っています。


公営塾の関係者の大人たちも仲間たちも、誰かが真面目にやってたり上手く出来なかったりすることに対して、絶対に茶化したり上から目線の発言をしたりはしない人が集まっていたので、安心して自分の全部をオープンにして学べて、公営塾は本当に自分のありのままを受け入れてくれた場所でしたね。


地域を問わず、なかなかあんな安心感のある学びの環境には出会えないと思うので、僕はめっちゃラッキーな高校生活を過ごさせてもらいました。



立場や年齢に囚われず「常にフラットな関係性であることで初めて生まれるもの」の価値や面白さを知った。


公営塾は、特に生徒同士のコミュニケーションに関しては、先輩後輩って意識があまり無かったように感じます。


例えば僕の場合は、参加した海洋プロジェクトチームに同じ学年の人がいなかったので、その分後輩たちに意見を求める場面も多かったんです。そこで後輩たちがすごく率直に「いや〜それよく分かんないっす!もうちょっと分かりやすくお願いします!」とか言ってくることもしょっちゅうあったし、逆に「そのアイディアは面白いけど、なんかパンチが足りないっすね。」みたいに、僕が出した提案にもはっきり意見をくれる環境があったんですね。


それがすごくよかったなと思っています。


公営塾で学んだ「人との関係性の築き方」っていうのは、僕自身が今までなにか日常生活の中で特別意識をした場面とかがあるわけではないと思うんですけど、僕の場合は明らかに公営塾入る前よりも、自分がとるコミュニケーションの質が上がったと思うし、今でもすごく僕の人生を豊かにしてくれています。


公営塾で色々なプロジェクトを進めてきた中で、何度も何度も「フラットな関係性」ってのを意識することを繰り返してきたので、そういった関係性から生まれる対話の価値の高さも沢山高校時代に体感できていたことは、本当に幸せでした。


そういう公営塾での学びの蓄積があったから、「自分の思いを誰かに伝えるのを、怖がらなくていいんだ。」と、自然と思えるようになっていったんだと思います。「自分が頭の中で描いていることを、素直にさらけ出せる場所、受け止めてくれる居場所がある。」という安心感が、だんだんと自分の行動も変えていってくれました。



公営塾は、「挑戦も苦労も安らぎも居場所も、全てが詰まっていた学びの場」。


公営塾では、先述したように、海洋ゴミのプロジェクトに取り組んでいました。僕たちが暮らす石垣島の海はすごく綺麗だけど、すごくゴミが多い。その問題に対して何かをしようと仲間たちと考え、環境問題のことを身近に感じて欲しいから、講座とか講演会みたいな形式ばったものを開くよりも、学生が楽しみやすいビーチクリーンなどをイベント的に開催しました。

このアイディアに行き着くまでもみんなですごく悩んで、「このプロジェクトを通して何ができたら、自分たちのプロジェクトの目標が達成できたと言えるの?」と何度も話し合いをしました。「答えがないことに対して自分たちで悩んで、何度も議論を重ねて、みんなの共通点を見つけたときに初めて前に進めるんだ」って体験を通して学べたことは、すごく印象的でした。


僕は中学生くらいからずっとぼんやりと「自分たちはどうあるべきか」「何が正しいのか」「どう生きるべきか」とかを考え続けてきたんですけど、公営塾に入ってやっと「完璧な答えってのは無いし、周りの人は自分を色々評価してくれてるものだけど、大切なのは周りからの評価よりも自分自身だな」と気付けました。


なにか人生選択をするとき、僕たちに近い話で言うと、進路を選ぶときとか、自分のキャリアを決めていくときだと思うんですけど、周りのみんなはけっこう「これがイケてるから・・・」「これが普通なんじゃないの」とかの理由で選んでたけど、僕は「自分自身が1番納得できる形はなんだろう」と考えて選ぶようにしていて、公営塾で過ごした時間は、僕のそんな思いの原点になったんだと思います。


あと、公営塾でのもう1つの大きな気付きは、「やっぱりチームだからこそ生まれるアイディアって必ずあるんだな」ということでした。


僕は特に自分の性格的にもあまり協調性がなかったので、「1人で考える方が楽だし、自分のペースでできるし、傷つくことも面倒くせえなって思う出来事もないし、1人の方がフットワーク軽く自分のタイミングで動けるし、ワクワクする瞬間も多いに決まってる」ってずっと思ってたんですけど、「チームってのは、不便そうで意外となんか面白いものなんだな」って、公営塾の体験を通して初めて思えたんですよね。


なんか、うまく言えないんだけど、公営塾は本当に、 挑戦も苦労も安らぎも居場所も、全部の意味合いが詰まっている場所だったんだなって思い返しています。今、島を離れて、都会に出てきて大学生をしているんですが、「公営塾という楽しい学びの場がなくなってしまった・・・」って無い物ねだりをするのではなく、自分で主体的に行動することの大切さも学びました。



東京での暮らし。そしてこれから。


今は、東京で大学生をしています。チームで動くということと、ないものねだりをしないで自分から見つけに行こうということを意識しています。「自分のワクワク」と「自然との共生」というのが今の大学生活のキーワードで、その2つの観点から今すごく関心があるのはアフリカの暮らしや、長い歴史があった上で育まれてきた文化のことです。

先住民の暮らしは自然との共生と発展を両立できているし、どこか沖縄に似ているところがあるアフリカ。今通っている大学はすごくアフリカと関係性の強い大学で、アフリカに関連するクラブがあるのでそこで歴史を学んだりしている最中です。


はじめは関心だけだったのが、スワヒリ語のスピーチコンテストの運営へトライしてみて、そういった場に出向くことで新たな関係も広がって、結果として自分が信頼できる居場所もできたように感じます。実はそのクラブの副部長を最近任されました。



あなたにとって公営塾とは?


「家」であり、「飛び台」です。


あくまで次の挑戦やこれからの未来に高くジャンプするための飛び台のようなもの。でも、いつでもただいま。と帰ってこれて、おかえり。と言ってくれる仲間がいる「HOME」でもある。自分が常に前に進むための場所ですね。



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