りんか先輩の話(2019年度卒)



入塾の理由。


 みんなが進路に向けて動き出している高3の頃、私は全く進路選択ができていませんでした。どの大学を受けるかも決まっていなかったけど、勉強はしないといけないよねということで塾に通うことを検討していた時、学校のお知らせで「石垣市公営塾」というものがあるということを知りました。当時お世話になっていた先生が、たまたま公営塾の立ち上げに関わっていておすすめしてくださったこともあり、入塾を決めました。

当時の塾は学習コースと、プロジェクトコースがあり、入塾当初は一般入試も視野に入れていたため、学習コースに在籍していました。今在学している産業能率大学をAO入試で受験する方向性が固まってからは、活動面での実績を積むためにプロジェクトコースに移動しました。



違うって面白い


 入塾する前の私は、どこか自分の意見を押さえて周りと足並みを無理矢理揃えているような人でした。元々私はいろんなことに対して「なんで?」と疑問が湧いてきやすいのですが、場の雰囲気や流れを止めないためには、そんな疑問やみんなと違う意見は言わない方がいいと思ってたんです。

でも、公営塾に入ってそんな「違い」こそが面白みだということを学びました。塾では、とにかくみんなが何を考えているかを言葉にする時間がありました。先生も「みんなはどう思ってるの?」と聞き出してくれたし、私のように疑問が次から次へと出てくる人にも、みんなが「これはこうだよ。他に何か疑問はある?」とチームの理解度を整えて次に進んでいく雰囲気があったんです。

学校も学年も違うメンバーがひとつのプロジェクトを進めるのですが、とにかく個性も得意・不得意も見事にバラバラだったように思います。でもそのバランスがとってもよかった。いつもみんなの前でリーダーシップを発揮してくれる人、それを二番手でサポートする人、すぐに意見を言える人、すぐに口は開かないけどよく考えて意見を言ってくれる人、みんなに質問を振る人、意見はあまり言わないけど積極的に行動してくれる人・・・「いざとなった時はこの人!」の“いざとなった時”が、みんな違ったような気がしています。


塾の経験が生きて、大学生になった今でも疑問に思ったことはすぐ聞くようにして、違う意見だったとしても自分が思うことは発言しています。みんなの中では「いつも変なことを言うキャラ」になっています(笑)。私が関わっていないことについてでも意見を聞かせて欲しいと連絡をもらうことも多く、その理由が「いつもみんなが思いつかないような発想をしていて面白いから、りんかのアイディアを聞いておきたい。」と聞いた時は、「違うって面白い」が伝わった気がして嬉しかったです。



後輩たちがカタチにしてくれた思い


在塾中は、現在の「島そうじプロジェクト」の前身となるアイランダーサミットへの参加プロジェクトのメンバーとして活動していました。



アイランダーサミットでは、専門家やバリ島グリーンスクールの皆さんに向けて、島の環境問題に対して私たちが感じているリアルな声と、みんなで考えたビーチクリーンの新たな形を提案させてもらいました。


島そうじプロジェクトは、この時のアイディアを土台としプロジェクト実現のための資金造成としてクラウドファンディングに挑戦し、アイディアが形となったこれまでの流れがあります。アイディアを考え、実現のためにクラウドファンディングでページを作成する。私が塾生として関われたのはこのスタートの部分です。正直、クラウドファンディングでご支援頂いた皆さんへの返礼品の送付作業まで携わりたかったな~と振り返ってます。大学になった今、こういった資金調達のことを勉強したりすると、やはり相手へ感謝の気持ちを届けて初めてひとつの形になるのかなと思っているので。こんな感情も在塾中にクラウドファンディングに挑戦した経験があったから感じられることだと実感しています。

そんなちょっとした後ろめたさと、資金調達できても果たしてアイディアを実現(プレシャスプラスチックを製造する機械が造れるのか)できるのだろうかというちょっとの不安を残し卒業しましたが、無事私たちの思いを引き継いでくれた後輩たちがアイディアを実現してくれました。プロジェクトのLINEグループで後輩たちの進捗を覗いたり、時々相談を聞いたりしながら、この繋がりは本当に素敵だなという思いと後輩たちへの感謝の気持ちが日々溢れてきますね。



東京にいる今、ふるさとに思うこと。


東京に出てきて実感していることは、人との繋がりへの感謝と石垣島に生まれたことへの誇りですね。

アルバイト先に石垣島出身の方が居るんですが、同じ島出身というだけで安心感があります。他の場所でも、沖縄出身の人は私が石垣島出身だというとすぐに声をかけてくれて、ルーツを通して繋がりが広がるのを感じています。

公営塾の卒塾生や現役生はもちろんのこと、先生方ともいまだに連絡をとっていて、今でもいろんなことを教えてもらったり当時の自分のことを思い出すきっかけになっています。


また、私は石垣で地域の青年会に所属しているのですが、なかなか帰省できない私にも地域行事がある時は「もし帰って来れたら一緒に参加しよう」と誘ってくれたり、成人式の時もお祝いをしてくれたりといつもあたたかく迎え入れてくれます。

近くでも遠くでも、これまで出会ってきた人も新しく出会う人も、石垣島を軸に人の繋がりが広がっていくのはすごいことだなと、ありがたい気持ちになります。


また、関東に出てきて驚いたのは「地元をまだ一度も離れたことがない」という同世代がたくさんいるということ。高校を卒業して一人暮らしは怖い、とか親元を離れて大学に通うのは難しい、という意見の人もいます。そんな時、島の同級生のことを考えたら、ほとんどが当たり前に親元を離れ全国各地に出ていき、新しい環境でいちから交友関係や生活環境を整えて楽しく過ごしていることに気がつきました。私たちが高校卒業の時に考える海の向こうに出る、出ないという決断力とそこからの行動力ってもしかしたすごいことなんじゃないかと思えるようになりました。私たちはまだまだ都会での過ごし方に疎いところがあるかもしれないけど、ふるさとを離れて全国各地で頑張る同級生たちを思うと、すごく誇りに思えます。



あなたにとって公営塾とは?




これは現役の時に「この場所の認識を共通でもっておこう」という意見が出て、みんなで話し合ったテーマでもあります。その時に私たちが出した答えは「家」でした。


学校が終わったら塾、おうちに帰っても塾の振り返り、プロジェクトの大事な時期は学校でも塾のメンバーで集まったりと、とにかく塾のことで駆け回った日々でした。忙しかったかもしれないけど、全然大変じゃなくて、とにかく楽しかった。当時の自分を振り返ると、いつでも前のめりに塾のことに取り組んでいたと思います。


学年も違う、学校も違う仲間達がいたり、いろんな大人に出会えたり、遊んでるわけじゃないのにとにかく楽しかったですね。嘘もなし、遠慮もなしで、自分自身をさらけ出せる空間でした。

いつか公営塾のメンバーで同窓会ができたら「島そうじプロジェクト」の各年代のメンバーで集まって、これまでのことをみんなで話したいです。立ち上げの頃の私たちの話を知らない後輩たちも居るだろうし、逆に後輩たちが抱えていた悩みや乗り越えてきた壁を私たちは近くで見てきたわけではないので、同じ思いが引き継がれてきた中で、どんな人がどんな風に引き継いできたのかをみんなで分かち合ったりしたら、おもしろそうじゃないですか。





写真: Sakura Yamada